【第1回】あまから手帖編集顧問、門上武司の「美味しい海鮮コラム」:バランスの良い食事とは?

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    「さかな」という言葉がある。

    漢字で表現すれば「魚」「肴」「魚菜」などの文字を思い浮かべる。



    「魚」なら造りで一献、焼き物なら熱々のご飯との相性も抜群だ。味噌汁に
     入れれば、朝食のごちそうとなる。
    「肴」となると、これは左党にとっては垂涎の単語である。「魚菜」となると
     これはお惣菜、ご飯のおかず。どの文字もご飯と清酒に結びついている。
     どちらにしても私達日本人にとっては、暮らしの中で不可欠な要素といえる。



    そんな「さかな」のことを知ることが、これからの私達の生活を考えるにとても
    重要な要素だと思う。生命ある「さかな」を見る機会は少ない。
    まずはここから始めてみたい。

    「さかな」の名前を覚える。その旬を教えてもらう。漁場を知る。
    例えば、ふぐなら下関の南風泊港が、その集積地。
    鮪なら静岡県清水港に集まってくる。
    その鮪も季節によって漁場は変わる。
    冬なら青森の大間がその代表格ろとして知られる。
    日本海なら若狭の甘鯛や氷見の鰤が名高い。

    その漁場と季節を知り、少し注意深く「さかな」のニュースを気にしていると、
    季節感や漁場の変化などに気づく。



    つづいて食べ方を知る。
    現在、割烹ではコースメニューが当たり前だが、じつは素材を前にして
     お客が「腹身のところは造りにして、頭はあら炊きにして」などを調理法
     を指定しながら食事をしたものだ。
    いまではそんな注文の仕方をする人はほとんどいないが、それほど
     日本人は「さかな」に対して愛着を持ち、それに対する知識も持ちえていた。
    それに近づくというわけはないが、少し「さかな」のことを考える機会を増や
    すと、日々の暮らしはもっと楽しくなるにちがいない。


    ご飯や清酒を主として考えるかは
    「まごはやさしい」という言葉がある。これはバランスの良い食事の考え方。

    ま(まめ)は豆類                                                                                                              

    ご(ごま)は種実類

    わ(わかめ)は海藻類

    や(やさい)は緑黄野菜、淡色野菜、根菜

    さ(さかな)は魚介類

    し(しいたけ)はきのこ類

    い(いも)はいも類

    ということになる。

    この頭文字の食材を一食ですべて取り入れれはいいのだが、一日の食事
    でも可能である。
    この食事スタイルが、日本を世界に誇る長寿国とした要因とも言われている。

    これは日本がまわりを海の囲まれた島国であり、昔から豊富な漁獲によって
     人々の暮らしを支えてきた歴史に因るところも多い。
    日本人ほど、魚介類を生から乾燥、熟成、加熱などさまざまな手法をもって
     多く食べてきた人達は世界に類をみない。



    そして私達は、左手に白いご飯を持ち、右手で箸を持ち、おかずとともに
     米を食べるという文化を持っている。これもまた我が国だけの食習慣であり
     口の中でそれぞれが味わいを生み出す口中調理という貴重なスタイルな
     のである。
    考えれば、魚介の珍味は白いご飯、そして米から作った清酒を呼ぶ必須
     アイテムである。

    「ちょっと食べてみて!」と言われたときに、こんなことを考えてしまった。

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